高齢者の方々の最もなりたくない事は、「ボケ」認知症と寝たきりではないでしょうか。
最近では健康でいられる期間の事を「健康寿命」と言いますが、平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性で約13年になります。
あくまでも平均ですが、日本人の高齢者は約10年間の病気療養の期間が有ると云う事になります。
あえて言えば、平均約10年間病気療養に皆さんそれぞれが全員なる訳では有りませんので、念のためにご説明しますと、長生き家系で長患いを30年くらいされている方もいらっしゃいますし、重篤なご病気に罹って2~3ヶ月で逝かれる方もいらっしゃいます。
最近の傾向としては、医療技術などの発達に伴って、長中期の入院での対応よりも、短期入院や通院やリハビリなどを積極的に行って、早期の社会復帰を実現しています。
しかし、ここで問題になるのが核家族化の深刻化です。
50年前位の日本では、2世代や3世代の大家族で互助関係が築かれていましたが、今では老老介護やお一人様家庭が多くなり、先進国でありながら高齢者の方々の将来の不安は年々急増加しているのが現状です。
更に追い打ちをかけるように、日本には少子化問題が響き、単なる人口減少だけでは済まなくなる事態が想定されています。
昔は元気で長生きすることは人類の夢とされて、将来は科学技術などの進歩により、ガンなどの病気は無くなると予想されていました。
もちろん、これから先の世の中では、バイオテクノロジーや遺伝子技術開発などで大きく飛躍し進化していく事は間違いありません。
しかし、それらの恩恵を受けられるのは、一部の人間だけにとどまることになるでしょう。
今までの人類史上、これだけ日本人全体で平均寿命が高いのは初めての経験ですので、お医者様でも習った医学には無い、書物には無い様々な高齢者の方々が続々と来院される訳ですので、対処出来ないケースには、「加齢に伴うものでしょう」とか「老化現象ですなぁ」とかの最後の決め台詞が登場する事になります。
特に認知症(ボケ)の場合には、境界線が曖昧で個人差が有るものですから、診断された高齢者の方が傷付くケースが多いです。
認知症(ボケ)の原因は、脳に有ると思われていますが実はそれだけでは有りません。
例えば徘徊ですが、本人は意識して徘徊しているわけでは有りません。
足腰が不自由でなければ、肉体自身が要求して、本人の意思とは関係無く行動欲求が高まり、結果徘徊をしている事になります。
ですから、本人自身も何故そこにいるのか説明することは出来ないのです。
若い時には考えた事もしなかった、脳で考えた事が行動に移すと云う神経行動が、肉体自身が勝手に神経行動してしまうと云う現実が存在します。
武道の世界で云うところの、試合中に記憶が飛んだ後でも身体が勝手に反応して試合終了後に意識が回復してしまう行動原理と同じ事が、高齢者の人体でも起こっている訳です。
すべての高齢者に当てはまる訳では有りませんが、認知症(ボケ)と云う現象は神の領域に達した証なのかもしれません。
現代日本には、すべての高齢者に対して手厚く十分な社会福祉を提供出来る国では有りませんが、出来るならば元気で長生きが出来る社会にしたいので、今後も全力で健康への啓蒙活動及び健康予防法を伝えていきたいと思います。