健康長寿社会を目指していく上で、社会全体で取り組んでいく問題の嗜好品ですが、まずは個々人が適量を知って上手に活用していくことも重要です。
★喫煙は、最大の死亡要因
①たばこの有害物質が、あらゆる病気を引き起こす
毒性のある物質や、発がん性物質を含め、約4,000種類もの化学物質が含まれています。
・ニコチン➡脳の神経に強く作用する物質で、強い依存性があり、体内で発がん性のある物質に変わります。
・タール➡約60種類もの発がん性物質が含まれ、肺に染みついて肺を黒くしたり、ごく一部は血流に乗って全身に送られ、様々な部位でがんを誘発します。
②息切れはCOPDという病気のサイン
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、肺の病気の一種です。
肺の動きが悪くなったりして呼吸がしにくくなる病気で、患者数は現在500万人にのぼると推定されています。
別名「たばこ病」とも云われて、肺がん以上に、たばこと関係の深い病気なのです。
長引く咳や痰、坂道や階段を上った際に起こる息切れなどは、COPDの代表的なサインです。
③受動喫煙で周囲の人にも被害が生じる
たばこの問題点は、たばこを吸っていない非喫煙者でも、「副流煙」を吸い続けていると、肺がんや心筋梗塞のリスクが高まることです。
これを「受動喫煙」といいます。
しかも、たばこの発がん性物質のなかには、喫煙者が吸う主流煙より副流煙のほうが濃度が高いものがあります。
③禁煙すれば、その瞬間からガンが遠ざかっていく
たばこによる自分と周囲への健康被害を防ぐには、禁煙が不可欠です。
禁煙を始めるのに、遅すぎることはありません。
④禁煙の成功率を上げるコツ
禁煙は、やみくもに取り組んでも長続きしません。
それほどニコチンによる依存性は強く、日本の喫煙率が依然として高い理由でもあります。
どうしても吸ってしまう人は、禁煙外来を頼る事も1つ手です。
禁煙治療を受けるための一定条件を満たしていれば、健康保険などが適用されます。
※タバコを吸い始めるきっかけは人それぞれですが、やはり一番多いのは「親が吸っていたから」になります。
※未来を担っていく子供たちの為にも、タバコをお吸いの方は是非とも禁煙を、非喫煙者は受動喫煙をしないように十分にお気を付けください。
★お酒と健康
①飲酒量が多ければ多いほど、がんのリスクが高まる
お酒には、適量を守れば、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が期待できると云う、健康に良い一面が有ります。
しかし、飲む量が過ぎると、健康に様々な悪影響を及ぼします。
国立がん研究センターの「多目的コホート研究2015」によると、男性の場合、1日当たりアルコール量23g~46g(日本酒で1~2合)以上の飲酒をする人は、時々飲む程度の人に比べて1.6倍、がんの発生率が高くなることが分かっています。
部位別にみると、食道がん4.6倍、大腸がん2.1倍、女性では乳癌のリスクが1.8倍です。
ほかにも、過度の飲酒は口腔がん、咽頭がん、肝がんなどの原因になります。
厚生労働省は「100%のアルコール10g=1ドリンク」とし、「男性で1日平均4ドリンク、女性で2ドリンクをそれぞれ超えないように」としています。
女性は飲酒の影響を受けやすいため、特に注意が必要です。
②1ドリンク相当のお酒の目安量
・ウイスキー、ブランデー(40%)→30mL{シングル1杯}=1ドリンク
・焼酎(25%)→50mL=1ドリンク
・日本酒(15%)→0.5合=1ドリンク
・ワイン(12%)→110mL{グラス1杯弱}=1ドリンク
・酎ハイ(7%)→180mL{350mL缶1/2本}=1ドリンク
・ビール(5%)→250mL{ロング缶1/2缶}=1ドリンク
★飲み物と健康
飲み物のなかでも、健康効果が期待されるものに、「緑茶」と「コーヒー」があります。
これらは、ポリフェノールなどの抗酸化物質を含むことから、がんの予防に役立つのではないかと注目され、研究が進められています。
まず「緑茶」ですが、女性において、1日の摂取量が1杯未満の人に比べると、1日5杯以上飲む人の方が、胃がんのリスクが低くなる傾向がありました。
「コーヒー」については、よく飲んでいる人で肝がんや子宮体がんの発生率が低いという報告が、数多くあります。
要因についてはまだよくわかっていませんが、コーヒーの持つ炎症を和らげる効果や、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」や「カフェイン」などの成分による、インスリン抵抗性の改善効果などが、がん予防に関わっていると考えられています。
心疾患や脳血管疾患は、いずれも動脈硬化に関係の深い病気です。
「緑茶」や「コーヒー」による、血管に対する総合的な健康効果から、これらの病気予防、死亡リスク低下につながっていると考えられています。
※人体の約60%は水分にて構成されていますので、基本的にはキレイな良質の水を毎日こまめに飲むようにオススメしています。
※60歳以上の方は、特に水分補給は十分に行って「脱水症状」を起こさないようにこまめに水分補給をオススメします。
以上で、第3章 嗜好を見直すを終了します。
※は、私なりの個人的見解を入れております。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。