運動と一口に言っても、いろいろと種類が豊富で、何をすれば良いか分からない方も多いと思います。
ポピュラーな運動としては歩くことが一般的ですが、それだけでは健康寿命を延ばすには至りません。
そこで、今回は理論的にそれぞれの運動を見ていくことにします。
★運動の種類によって、得られる効果は異なる
運動には、主に「有酸素運動」、「レジスタンス運動(筋力トレーニング)」、「柔軟運動」の3つがあります。
健康を目的に行う運動やトレーニングには、向き不向きがありますが、これを専門的には、特異性の原理といいます。
高齢者が、運動部の高校生が行うようなトレーニングを行えば、かえってケガのリスク高くなります。
健康の維持や病気の予防を目的に運動を行うには、特異性を考慮して運動の種類や強度を設定する必要があるのです。
★歩くスピードを変えれば、運動強度は自由自在
三大運動のなかで、最も普段の生活に取り入れやすいのが「有酸素運動」です。
有酸素運動を行うと、脂肪がエネルギーとして燃焼されるため、肥満の予防や改善に効果的です。
有酸素運動の基本は、「歩くこと」と「走ること」です。
普段通り歩くだけでは、十分な効果を得ることはできません。
「運動の強度(メッツ)」を意識することが大切です。
★歩行速度によるメッツの変化
1メッツ➡座っている状態
2メッツ➡立っている状態
3メッツ➡ゆっくり歩く
4メッツ➡普通に歩く
5メッツ➡速く歩く
6メッツ➡ジョギング
7メッツ➡ランニング
1メッツ強度が上がると、消費エネルギーが25~33%アップします。
★いつもより速く、格好良く歩けば移動時間も運動に
歩行の質を高めると、歩数を増やさなくても身体活動量を増やすことが出来ます。
姿勢を正して「格好良く」歩くという意識をもつだけでも、運動量のアップが期待できます。
歩くスピードを上げるだけで、メッツが1段階上がります。
「キツイ」「ツライ」と感じない程度の速さが目安になります。
★インターバル速歩
ゆっくりとした歩行(ゆっくり歩き)と早歩きを交互に3分間ずつ繰り返す運動です。
早歩きを合計で1日15分間、週4日で60分間行うのが目安です。
★スロージョギング
笑顔で話しが出来るくらいのペースで行うジョギングです。
筋肉に乳酸がたまりにくく、無理なく続けることが出来ます。
筋肉は、大きな力は出せないけれど持久力がある「遅筋繊維」と、大きな力は出せるが疲れやすい「速筋繊維」で構成されており、スロージョギングでは、主に遅筋繊維が使われます。
肥満の解消や、血圧や血糖値、HDL(善玉)コレステロールなどの値を改善する効果が報告されています。
メタボリックシンドロームの予防や改善につながります。
★膝や腰が痛い人でも無理なくできる水中運動
膝や腰の痛みがあるときには、ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動は控えるのが基本ですが、そんなときにお勧めなのが、水中ウォーキングです。
★天候が良くない日や体力のない人でもできるスローステップ
スローステップは、その場でステップ台(踏み台)を上り下りする運動です。
室内でテレビを見たり、会話しながら行う「ながら運動」にも適しています。
何か他のことと同時にスローステップを行うことで、脳のトレーニングにもなり認知症予防の効果があると考えられています。
以上で、第4章 身体活動・運動と健康 ②を終わります。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。