自分で、①食べれること②歩けること③トイレが出来ることの3つのうち1つでも出来なくなってきた場合には、介添えが必要となります。
とにかく将来寝たきり介護を避けたいなら、少しづつで良いので肉体を鍛錬するしか方法はありません。
何故ならば、私達は「動物」だからです。
野生の動物達にとって、通常動作が出来なくなることや、重篤なケガは死に直結しています。
しかし、我々は助け合うことで生きていくことが出来る唯一の動物です。
★運動器の障害は生活に密着している
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことをいいます。
運動器とは、骨や関節、軟骨、背骨、椎間板、筋肉、神経などの総称です。
ロコモは単に足腰が弱るだけではなく、それによって思うように体を動かせなかったり、自立した生活を送るのが困難になることが問題なのです。
★気付かないうちに進行する
ロコモは高齢者の問題だと思っている人が多いのですが、女性では40歳代から、男性では50歳代から注意が必要になってきます。
特に若いころから運動をする習慣がない人は、自分で思っている以上に足腰が衰えていることが少なくありません。
★進行すると介護が必要になってくる
自立して生活できる期間を「健康寿命」といいますが、日本人は平均寿命に比べ、この健康寿命が約10年短いといわれています。
その原因を調べてみると、ロコモが深く関わっています。
骨や関節のケガ、病気が引き金となってロコモの状態に至り、やがて自力では自由に動くことが難しくなっているのです。
現在、ロコモのある人は予備軍を含めて約4,700万人と推計されています。
その最大の要因が、骨や関節の病気です。
骨粗鬆症が1,070万人、変形性膝関節症が2,530万人、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの変形性腰椎症が3,790万人といわれ、実際には高齢者ではこれらの病気をもっている人が多くいます。
★要支援・要介護の原因
1位➡骨折・転倒+関節疾患=ロコモ =22.7%
2位➡脳卒中(脳血管疾患)=18.5%
ロコモと関係のある骨折・転倒と関節疾患を合わせると、1位の脳血管疾患を上回る。
つまり、要支援・要介護の増加を抑えるにはロコモ対策が必要といえる。
★始まりは膝や腰の痛み
ロコモは運動器の障害によって引き起こされますが、その直接の原因になるのは膝や腰などの痛みや、関節の可動域の制限、筋力のバランス能力の低下などです。
さらに、こうした症状を引き起こしているのは加齢や運動不足のほか、変形性関節症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症などの骨や関節の病気です。
★メタボが影響する人も多い
メタボのある人は肥満のことが多く、体重が重いぶん、膝や腰に大きな負荷がかかります。
その影響で軟骨や椎間板がすり減って変形性関節症や変形性腰椎症を招き、やがて痛みが出るようになるとロコモに進みやすくなります。
メタボのある人はふだんから運動不足で、筋力低下も多くみられます。
特に、筋肉が急激に減るサルコペニアになると、より転倒や骨折のリスクが高くなります。
★子供のころからの生活習慣も大切
近年では、生活環境の変化に伴って、室内遊びが増える一方で、身体を動かす機会が減ってきています。
★ロコチェックで自分の状態に気付く
7つのチェック項目は、骨や関節、筋肉、神経などの運動器の衰えにより現れます。
①片足立ちで靴下が履けない→筋力・バランス能力の低下が原因
②家の中でつまずいたり、滑ったりする→筋力・バランス能力の低下が原因
③階段を上るの手すりが必要である→筋力・バランス能力の低下が原因
④家でのやや重い家事(掃除機掛けや布団のあげさげ)が困難→腰回りの筋力低下が原因
⑤2キロ程度の買い物をして、持ち帰るのが困難→膝回りの筋力低下が原因
⑥15分くらい続けて歩けない→持久力の低下・腰の疾患が原因
⑦横断歩道を青信号で渡りきれない→歩行速度の低下が原因
※7つのチェック項目のうち、1つでも当てはまる場合にはロコモの可能性があります。
※「立つ」「歩く」動作は日常生活において基本です。
以上で、第7章 「高齢の家族の健康、ロコモ」の前半部分を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。