このままの出生率では、2020年東京オリンピックの40年後には、1億人をきって約9,000万人ということが予測されています。
日本人減少を食い止めるためには、少子化の流れを変えていかなければなりません。
日本社会全体の問題でもあり、家系の問題でもあり、個々人の問題でもあります。
先人達が築いてきた日本人の繁栄は、日本人の人口数そのものに表れています。
心と体の健康が基本ですが、国の繁栄こそが我々日本人の大資本です。
★日本の出生率は、先進国の中でも特に低い
日本では長く「少子化問題」が取り沙汰されています。
2005年の「合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)」が、1.26と過去最低を更新したことによります。
このまま少子化が続くと、2060年には日本の人口は8,674万人まで減少し、1年間に生まれる子供の数は、現在の半分以下の50万人を割ると予想されています。
★晩婚化・晩産化が、少子化の大きな要因に
少子化問題の解決には、国民が結婚して子供を産み育てたいという希望をかなえる支援が必要不可欠といえます。
★海外における出生率改善例
出生率上昇に成功してフランスとスウェーデンでは、婚外子を容認しやすいなどの理由もありますが、養育手当などの経済的支援や育児制度を充実させることで第1子の出生率が早くなった点が、最大のポイントです。
①フランス
2012年、出生率が2.00まで回復
②スウェーデン
2012年、出生率が1.92まで回復
③日本
2012年、出生率が1.41
★第1子の出産年齢が上がってきている
医学的には、出産に適した年齢は20歳代前半から35歳で、それ以降は「高齢出産」と呼ばれています。
20歳代の出生率が減少している一方で、30~34歳の出生数は緩やかに上昇し、35~39歳の出生率も増えています。
★年齢とともに、妊娠しにくくなる
不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交しているにも関わらず、一定期間(1年間が一般的)妊娠しないことですが、加齢に伴って不妊症のリスクが高くなります。
女性は年齢が高くなるほど、卵子の質・量共に低下することや、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の病気を発症しやすくなることが挙げられます。
★35歳前後から、流産率が上がる
不妊治療をした人の流産率は、35歳以降になると急激に上昇します。
★子供に染色体異常が起こるリスクが高まる
35歳以上の人の妊娠・出産では、不妊や流産のリスクが高いだけではなく、高齢出産では子供の染色体異常が起こる頻度が高くなることがわかっています。
★妊娠22週未満に起こるのが、流産
流産は妊娠の15%前後にみられますが、なかでも多いのは妊娠12週未満に起こるもので、流産のほとんどがこの時期に発生しています。
★流産の原因は、赤ちゃん側にあることがほとんど
流産が起こることは非常にショックな出来事ですが、最も多い12週未満の流産では、その原因は染色体異常など胎児側にあることがほとんどです。
★妊娠22週以降、37週未満に起こるのが早産
「早産」とは、「正期産(妊娠37週~41週6日までの出産)以前に出産することです。
日本では、22週以降37週未満を早産と定義しています。
妊娠22週未満の出産は流産であるため、早産とは区別されます。
★早産には、母体の生活習慣などが様々関わる
早産は全妊娠の約5%に起こります。
原因は母体にあることが多く、不規則な就業時間や重労働による過労、子宮口が開きやす体質(子宮頚管無力症)、感染症などが関係しています。
早産で生まれた赤ちゃんは、正常な分娩時期に比較的近い場合であっても肺の形成が未熟で、呼吸障害が長期間続くと報告があります。
そのためには、母体の生活習慣の管理が非常に重要となります。
過労を避け、かかりつけ医の妊婦健診を定期的に受けて、その指導を守ることが大切です。
★母性健康管理指導事項連絡カードの活用を!
「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」は、仕事をもつ妊産婦が、医師から通勤緩和や休憩、勤務時間の短縮などが必要との指導を受けた時、母健連絡カードを提出することで、事業主に的確に伝えることができます。
事業主はその内容に従って対処する必要があり、母健連絡カードを活用することで、妊娠・出産後の女性が働きやすい環境づくりに役立ちます。
以上で、第8章「女性の健康」 前半部分を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。