日本人の平均寿命が長くなっている理由の1つは、医療技術の進歩と多種多様なお薬の進化ではないでしょうか。
80歳以上の方のお薬の服用は平均すれば、5種類位になると思います。
多い方は、10~15種類のお薬を毎日服用しているようです。
極論すれば、自分に合った良いお医者様と自分に良く効くお薬と出会えれば、QOL(生活の質)はある程度までは維持出来るようです。
良いお医者様と出会えることと、効果の有るお薬に出会えることは、これからの人生の課題になる可能性があります。
重篤な病で倒れる前には、セカンドオピニオンも念頭にいれておくと、治療の選択肢が増えることになります。
病気になるのは仕方無いとしても、出来るならば「早期発見・早期治療」が賢明なことのように思います。
★かかりつけ医の役割
必要なときに受診したり、健康状態を相談できる医師を「かかりつけ医」といいます。
かかりつけ医を決めておくと、さまざまなメリットがあります。
まず、大きな病院や大学病院などと違って待ち時間が比較的短く、受診の手続きが簡単です。
また、診察の結果、検査や入院が必要なら適切な医療機関や診療科を紹介してもらえます。
かかりつけ医選びは通いやすく、信頼できる医療機関を探すのがポイントです。
気軽に相談でき、病気や治療法、薬の説明が分かりやすく、必要に応じて専門医を紹介するなどの条件を満たしていれば安心です。
また、かかりつけ医との信頼関係を築くには、患者側も協力することが大切です。
以下の10か条を心掛けると、より良い関係作りに役立ちます。
★医師にかかる10か条
①伝えたいことはメモにして準備
②対話の始まりは挨拶から
③より良い関係作りにはあなたにも責任が
④自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
⑤これからの見通しを聞きましょう
⑥その後の変化も伝える努力を
⑦大事なことはメモを取って確認
⑧納得できない時には何度でも質問
⑨治療効果を上げるためには、お互いに理解が必要
⑩よく相談して治療方法を良く決めましょう
★かかりつけ医が高度な診療を行う専門医への橋渡しに
医療機関は、規模や専門性によってそれぞれ担う役割が異なります。
地域の診療所や中小病院は、身近なかかりつけ医として地域医療の窓口となる役目があります。
一方、検査や手術、入院などの設備が整備された総合病院などの大病院では、より重症の患者や救急医療、さらには先進医療などを提供する役割を担っています。
このように医療機関の機能分化が進められているのは、質の高い医療を効率よく人々に提供できるようにするためです。
こうした流れを受け、2015年5月に成立した医療保険制度改革法によって、大病院や大学病院では紹介状なしで受診する患者に対し、特別の料金を徴収することになりました。
初診で5.000円以上(歯科は3.000円以上)の金額を病院側が設定し、患者は診察料とは別に支払う必要があります。
この制度が施行された背景には、初診から大病院を受診する患者が非常に多く、”3時間待ちの3分医療”に象徴される大病院での待ち時間の長さなどに対する患者側の不満や、外来患者が多すぎて専門的な治療が必要な人に十分な医療を提供できないといった、病院側の課題を改善する目的があります。
患者側としてもいきなり大病院を受診するのではなく、まずはかかりつけ医の診察を受けて、詳しい検査や治療が必要な場合には専門病院への橋渡しをしてもらうというように、適切に病院を使い分けることが大切です。
★かかりつけ薬剤師・薬局をもつことで治療がより円滑に
医療機関を受診して医師から薬を処方されると、ほとんどの場合はその処方箋を持って薬局に行き、薬を受け取ります。
この時、その医療機関の最寄りの薬局を利用することが多いものですが、出来るだけ「かかりつけ薬剤師・かかりつ薬局」を1つに決めることが勧められます。
処方箋を1つの薬局に集めると、薬の管理がしやすくなるからです。
それによって複数の薬を服用している場合には、飲み合わせや薬の重複、服用回数、用量などをチェックしてもらえます。
問題が見つかったときは、すぐに医師に確認して対応が出来るので、薬の副作用などのトラブルを未然に防ぐことができます。
かかりつけ薬局を1か所に決められないときは、お薬手帳を活用しましょう。
手帳によって複数の医療機関や薬局が情報を共有できるので便利です。
以上で、第11章「健康を支える仕組み」前半部分を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。