日本では、誰もが平等に医療を受けられるように社会の仕組みが構築されています。
50年前からすると、大きく平均寿命が伸びて生活水準は良くなったとは思いますが、私達が思い描いていた「元気に長生きすること」はまだまだ課題が多いようです。
多くの人が元気で長く生きられる世の中は、社会の仕組みももちろん重要ですが、個々人やご家族の自分の心と身体を大切に長持ちさせる事に対しての「意識の向上」が一番重要になってくると思います。
★医療保険の役割と種類
日本は、国民皆保険制度によって全国民が何らかの公的医療保険に加入しています。
この制度を通じて、世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準が達成されています。
公的医療保険には、いくつかの種類がありますが、大きくは職域保険と地域保険に分けられます。
職域保険には、一般の会社員(被用者)とその扶養家族を対象とする「健康保険」をはじめ、公務員や船員などの特定の被用者とその扶養家族が対象となる「共済組合」や「船員保険」があります。
さらには、健康保険は中小企業と大企業によっても分けられています。
「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」は主に中小企業の被用者が、「組合管掌健康保険(健保組合)」は主に大企業の被用者が対象になっています。
保険料は被用者の給与水準によって決まり、被用者本人と使用者(企業)がほぼ折半しています。
地域保険の代表は、個々の市町村が運営する「国民健康保険」です。
そのほかにも、特定の職種によって設立された「国民健康保険組合」もあります。
さらに、75歳以降になると「後期高齢者医療制度」にすべての人が加入することになっています。
★公的医療保険の内訳 平成25年版 厚生労働白書
①職域保険 約7.400万人 約58%
・健保組合→約3.000万人
・協会けんぽ→約3.500万人
・各種共済組合→約900万人
②地域保険 約3.800万人 約30%
・国民健康保険→約3.800万人
③後期高齢者医療制度 約1.500万人 約12%
★所得や年齢によって負担額が異なる
基本は3割負担ですが、就学前の子供は2割となっています。
また、70歳以上になると収入によって変わります。
一般または低所得者で70~75歳までの人は2割負担に75歳以上の人は1割負担になります。
なお、現役並みの所得がある場合は70歳以上でも3割負担です。
★医療費による家計の圧迫を防ぐ高額療養費制度
1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えたときには、その超過分が払い戻されるというものです。
但し、入院中の食事代や差額ベット代、先進医療などは対象外となっています。
そのほか、1年間に一定以上の医療費(10万円以上)の自己負担があったときは、確定申告を行って医療費控除を受けると税金の還付が受けられます。
以上で、第11章「健康を支える仕組み」中盤を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。