現代はストレス社会とも云われていますが、高度文明によって、あらゆる面で便利で効率の良い時代になり過ぎて、現代人は心と体のバランスを取っていくことが、難しくなってきています。
情報処理のスピードと、移動手段のスピードは年々速くなって、ついていけない人にとっては、息苦しい人生になります。
あなたの人生にとって、体の健康も大切ですが、心の健康はもっとも大切なことです。
★従業員の健康は重要な”経営資源”
「健康経営」とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても、大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。
従業員の健康に投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性向上など、組織の活性化をもたらし、結果的に業績の向上につながるという考え方です。
さらに「健康経営」は、医療費の削減などの社会全体の課題解決にも貢献すると考えられています。
経済産業省は、東京証券取引所と共同で、従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定し公表することで、企業の健康に対する取り組みが株式市場等においても、適切に評価される仕組みづくりを進めています。
★「健康経営」による効果
従業員の健康投資を行うことは、結果的に企業の業績向上につながる。
企業理念(長期的なビジョンに基づいた経営)
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従業員の健康投資
☟ (社会課題の解決)
従業員の活力向上・医療費(会社負担分)の削減 ☞ 国民のQOLの向上・国民の医療費の適正化
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組織の活性化・生産性の向上
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業績向上・株価向上
★従業員の心の状態に気付いていますか? 職場のメンタルヘルス
職場環境が、うつ病などの心の病気の原因となることは少なくありません。
そのため、「健康経営」の視点から、職場のメンタルヘルス対策に取り組むことは重要です。
企業の管理監督者は、従業員の状況に応じて、次に挙げる対策・対応を行うことが重要だと言われています。
長時間労働者への面談などの①「予防対策」定期的なストレスチェックなどの②「早期発見」から③「早期対応」④「休職中対応」、職場復職支援プログラムなどの⑤「復職対応」の5つです。
★労働者の安全と健康を守る法律
「労働安全衛生法」は、労働者の安全と健康を守るための法律です。
★「労働安全衛生法」7つのポイント
①安全衛生管理体制の構築
安全衛生業務を担当する管理者を選任して、産業医などに労働者の健康管理を行わせる必要があります。
②労働者を危険や健康障害から守るための措置
労働災害を防ぐ措置を講ずるよう義務付けています。
③機械や危険物・有害物に関する規制
職場で使用する機械や危険性のある有害物の検査を義務付け、危険が生じる可能性のある機械や有害物を規制しています。
④労働者に対する安全衛生教育
労働者への疾病の予防法、応急処置の方法などの教育を義務付けています。
⑤労働者の健康を保持・増進するための措置
労働者に対して、医師による健康診断を行う義務があり、その結果に基づいて労働者の健康を守る措置を講じる必要があります。
⑥ストレスチェックの実施(2014年の改正により追加)
医師などによるストレスチェックの実施を行い、労働者の希望に応じて医師による面談の実施や、適切な就業上の措置を講じる必要があります。
⑦重大な労働災害を繰り返す企業への対応(2014年の改正により追加)
労働災害を防ぐための改善計画を作成し、改善を図らねばならない。
対応が見られない企業に対しては、企業名を公表する措置が取られます。
★プライバシーと健康を守る義務、どちらが優先?
健康上の問題が起こったときに、労働者がそれを上司に伝えたくないという場合が、実際には多くあります。
一方、管理監督者には、部下の健康を守る義務があるため、労働者の健康状態を知っておく必要があります。
このような場合、「プライバシーの問題」と「労働者の健康を守る義務」はどちらが優先されるかは難しい問題です。
ポイントになるのが、基本的には「業務に支障をきたしているかどうか」です。
業務に支障をきたしていなければ、個人の問題と捉えられます。
しかし、業務に支障をきたしている場合には、労働者は上司が行う健康管理措置に協力しなければなりません。
そして、管理監督者は、労働者の健康上の問題に対して、業務を適切に行えるように措置を講じなければなりません。
以上で、第12章「健康の啓発」前半部分を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。