血液によって運ばれた酸素が、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを担う分子ATPを作るまでに、数パーセントはそれ以外の物質を作るために使われてしまい、それが周囲に害を及ぼすのです。
このような代謝の際に派生した、反応性の強い酸素化合物は「活性酸素種」と呼ばれます。
活性酸素種はエネルギー代謝のほかに、様々な生体反応の際にも生成します。
生物にとって酸素は両刃の剣であり、酸素とともに生きるのは難しいのです。
活性酸素種にはざっと20種類があって、いろいろな生理作用を持つことが知られています。
それがうまく利用されている場合は善玉にもなりますが、反応性が強すぎたり、多量に生成しすぎたりして周囲の生体物質に害を及ぼす場合には悪玉になります。
★主な活性酸素
①スーパーオキシドイオン
➡最も多量に生成されるが、大部分は酵素SODによって除去される。反応性は低く体内で殺菌剤や信号伝達物質として働く
②ヒドロキシルラジカル
➡反応性は極めて高く、DNAを含むあらゆる生体物質を損傷し、疾患の原因となる。但し生成量は少なく寿命も短い。体内に除去酵素が存在しない。悪玉活性酸素。
③過酸化水素
➡反応性は低いが、体中に存在していて信号伝達物質として働いています。細胞膜を透過することができて、細胞内の鉄イオンや銅イオンと反応してヒドロキシルラジカル(悪玉活性酸素)を作ります。
④一重項酸素
➡皮膚が紫外線を浴びることで生成し、皮膚細胞を痛める一方で、紫外線防御のためにメラニン細胞を増やす働きをする。
全ての活性酸素は酸化作用を持つので、要はその作用がどれほど大きいかという程度の問題なのです。
酸化作用が大きすぎると害をもたらすけれども、適度に小さければ逆に利用することが出来る。
むしろなくてはならない役割を果たしていることもあります。
酸化作用は、毒にも薬にもなるのです。
上記のコラムは、深井有著「水素分子はかなりすごい」から重要な項目を抜粋して記載しております。