認知症の代表的な症状である記憶障害は、記憶を司る「海馬」が萎縮することにより起こります。
日本人の認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症では、嗅神経と海馬の経路に障害が起きます。
そのため、記憶よりも先に嗅覚の低下が症状として現れるのです。
視覚や聴覚に比べて嗅覚の加齢変化はあまり知られていませんが、超高齢化社会が進む中で、嗅覚の重要性が注目されています。
65歳以上の約半数、80歳以上では約4分の3の人に嗅覚異常が生じていると云われています。
高齢者の中には、本人が気付いていないことも少なくありません。
これは脳の記憶が減退した嗅覚を補っているためで、この脳の記憶の機能が衰えると、におわないことをはっきりと自覚するようになるのです。
加齢による嗅覚の変化の原因には、鼻にある嗅覚センサーである嗅細胞の減少が挙げられます。
嗅覚は食事や香料などの良い匂いを楽しむだけではなく、火事やガス漏れをいち早く感じたり、腐った食べ物を嗅ぎ分けたりと、身の安全を守るためにも大変重要な感覚です。
高齢者の1人暮らしも増えていますので、危険を察知する嗅覚はますます大切になっています。
上記のコラムは、健康管理士の研修資料で成人病予防対策研究会発行の「ほすぴ」より重要な部分を抜粋して出典しております。