医療機関での健診は、それぞれの病院で若干の違いが有ります。
それは、「測定機材などの性能」や「指導する側の技量」です。
医療機器の機材の進歩や医療業界の研究は、日進月歩の世界です。
やはり最新機材の精密度には、敵いません。それよりも重要な事は、診断指導する側の技量です。
健診を受けるのも、出来る事なら2つくらいの医療機関で、1年に2回受診することも可能な時代です。
健康寿命を延ばすには、まずは自分の身体の状態を正確に知ることから始まります。
自分の身は、出来るだけ自分で守ってあげたいものです。
★人間ドックは、より詳しい健診
人間ドックは個人の意思で受ける健診です。
定期健診や特定健診の検査項目に加えて、がん検診もカバーできるのも特徴の1つです。
2014年の統計では、全受診者のうち約93%に異常が見つかったことが分かっています。
人間ドックの検査項目の特徴は、臓器によって専門的な検査が行える点です。
心臓、肺、胃、腸、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓のほか、男性では前立腺、女性では子宮や卵巣などの検査があります。
★脳卒中の予防にも役立つ脳ドック
「脳ドック」とは、脳に関連する疾患の検査を専門的に行うものです。
中高年になると発症のリスクが高まる脳梗塞や脳出血など脳卒中の予防に有効です。
★五大がんの早期発見に有効
がんの診断と治療法は着実に進歩しており、早期発見・早期治療が可能になっています。
以前と比較して根治を目指せるケースも増えています。
そのためには何より、早期にがんを見つけることがポイントです。
早期発見から早期治療へとつなげるように、制度を利用することが大切です。
★自治体のがん検診はスクリーニングに役立つ
自治体のがん検診は、無症状の人を対象にしているのがポイントです。
健診によってがんの疑いがあるかどうか大きくスクリーニング(ふるい分け)して、精密検査が必要な人を見つけるのが目的だからです。
①胃がん健診→胃部エックス線検査または胃内視鏡検査→50歳以上・2年に1回
②大腸がん健診→便潜血検査→40歳以上・毎年
③肺がん検診→胸部エックス線検査、必要に応じて喀痰細胞診を併用→40歳以上・毎年
④乳がん検診→マンモグラフィ検査→40歳以上・2年に1回
⑤子宮頸がん検診→細胞診→20歳以上・2年に1回
★精密検査とハイリスクグループ精密検査が必要になったからといっても必ずしもがんとは限りませんが、放置することがないようにします。
①胃がんはピロリ菌の感染と萎縮性胃炎がポイント
胃がんの早期発見にはピロリ菌に感染しているか、萎縮性胃炎になっていないかどうかを調べたのち、陽性なら定期的に胃の内視鏡検査を受けると効果的です。
②大腸がんは女性に多いことを知っておく
2014年のがんの部位別死亡者数では、男性が3位、女性は1位になっており、女性は最も注意が必要です。
がん検診の便潜血検査で要精密検査となった場合は、大腸の内視鏡検査を受けます。
③肺がんは喫煙年数が長い人ほど検査を
肺がんには加齢や遺伝的要因や、環境的な要因が関係していますが、最も強く関係しているのが「喫煙」です。
「1日の喫煙本数×喫煙年数」で算出した喫煙指数が400以上になるとハイリスクグループに分類されて、タバコを吸わない人に比べて5倍程度肺がんになりやすいといわれています。
(例)喫煙指数の計算方法
1日20本×30年=600指数
肺がんの早期発見には胸部エックス線検査と、重度喫煙者に対しては喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)を併用します。
④乳癌は女性ホルモンとの関連が強い
乳癌の約6割は女性ホルモンのエストロゲンによる影響でがん細胞が増えるタイプであるため、「初潮が11歳以下」「閉経が55歳以上」「初産が30歳以上、あるいは出産経験がない」といった項目に該当する人は乳癌のリスクが高くなります。
⑤子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)感染の有無がポイント
子宮頸がんのほとんどは、HPV (ヒトパピローマウイルス)の感染により起こります。
★特定の細菌、ウイルスが原因となるがんもある
全世界では持続感染が関連するがんの割合は、約18%と推計されています。
アメリカをはじめとする先進国では9%ほど、発展途上国では23%となっています。
しかし、日本は先進国の中では高めの約20%となっています。
その理由は、胃がんや肝がんが多いためで、B型やC型の肝炎ウイルス、ピロリ菌の感染者の多さが影響していると考えられています。
以上で、第6章 検診・検診を使いこなすの後半を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。