すべての人は、母胎から生まれてきます。
生命を創造する女性には、感謝の気持ちしかありません。
女性は男性よりも精密な仕組みがあるにも関わらず、男性よりも頑丈に設計されているようです。
女性の健康を左右するのは、ホルモンが重要なカギを握っているようです。
この日本を元気にするのも、女性の健康エネルギーが存分に活動したときになるのだと思います。
★たばこは、胎盤の働きを弱めてしまう
喫煙すると、たばこに含まれるニコチンによって、血管の収縮が起こり、胎盤の血流が減少してしまいます。
非喫煙者の妊婦から生まれた子供に比べて、出生体重が平均で200g少なく、低出生体重児になる頻度も約2倍という報告もあります。
そのほか、早期破水、早産、脳性麻痺、子宮内胎児死亡などを起こす危険も高めます。
★受動喫煙にも注意が必要
妊婦が受動喫煙の影響を受けると、低出生体重児が生まれやすいという報告が多数あります。
★飲酒は、胎児性アルコール症候群のリスクを高める
妊娠中に飲酒の習慣があると、知能障害や発育障害を伴う「胎児性アルコール症候群(FAS)」の子供が生まれる可能性が高くなります。
飲酒による影響のうち、奇形は妊娠初期の飲酒と、発達遅延や中枢神経系の機能不全は妊娠末期の飲酒と深い関係があるといわれています。また、飲酒と喫煙の両方があると、その危険度はさらに高くなります。
妊婦の場合、安全量の目安がないため、禁酒にするのがベストです。
★妊娠糖尿病は、”母心”の病気?
妊娠前は糖尿病ではなかったのに、妊娠中に慢性的に血糖値が高くなる状態のことです。
原因は、胎盤から分泌されるホルモン。
妊娠中には胎児の成長を促すホルモンが分泌されて、その影響で血糖をコントロールするインスリンの働きが低下します。
加えて、子供にたくさんの栄養を与えたいいう”母心”が、ホルモンを多く分泌してしまうのかもしれません。
★子宮内膜症は、不妊や卵巣がんにつながることも
月経困難症の原因になりやすい子宮内膜症ですが、実は子宮内膜症は不妊にも何らかの影響があると考えられています。
詳しい関係はまだわかっていませんが、不妊患者の50%近くに子宮内膜症が認められています。
★月経前のつらい症状を放っておかない
月経困難症とまではいかなくても、月経が近くなると、体調不良やイライラなどの症状に悩まされることがよくあります。これを「月経前症候群(PMS)」といいます。
さらに、これらの症状が重く、特に精神的な症状が強く現れる場合には「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼ばれています。
★子宮体がんと乳癌は、エストロゲンの影響が大きい
女性ホルモンのうち、エストロゲンには子宮内膜を増殖させる働きがありますが、プロゲステロンは、子宮内膜の増殖を抑えます。子宮体がんはこの2つのホルモン分泌のバランスが乱れ、エストロゲンの作用が強まり、子宮内膜が異常に増殖することが原因と考えられています。
乳癌も女性ホルモンの影響を受けやすく、約7割はエストロゲンによってがん細胞が増殖するタイプです。
★卵巣がんは、排卵が繰り返される過程で起きる
「卵巣がん」の原因はホルモンではなく、排卵によって傷ついた卵巣の上皮が修復される過程で細胞に異変が生じ、がん化すると考えられています。
妊娠・出産の経験がない人ほどリスクが高いため、早期発見には、内診や超音波検査などを受けることが勧められます。
★閉経後の約10年間を”更年期”(45歳~55歳くらい)と呼ぶ
更年期には心身両面に不調が現れますが、多くは病気との関連はありません。
こうした様々な症状が出ることを「更年期障害」といいます。
★エストロゲンの低下に伴い、様々な症状が現れる
①自律神経失調症→のぼせやほてり(ホットフラッシュ)、発汗、悪寒、冷え、動悸、胸痛、息苦しさ、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまいなど、主に体に現れる症状です。
②精神症状→イライラする、怒りっぽくなるなどの情緒不安定、抑うつ気分などが多くみられます。
③そのほか→腰痛や関節痛、吐き気や食欲不振、皮膚の乾燥感やかゆみ、頻尿や陰部の不快感など、人によって様々な症状が出ます。
更年期障害でこうした症状が現れる原因のひとつは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌の変動・低下です。
エストロゲンの分泌は、40歳ごろからゆっくりと減っていき、閉経前後にガクッと下がる。
また、ホルモン以外の別な要因も、更年期障害に影響を及ぼします。
それが、心理的・社会的要因です。
★つらい症状を軽減する”ホルモン補充療法”って?
更年期障害の原因は、エストロゲンの分泌低下なので、薬でエストロゲンを補うと症状を改善できます。
これを「ホルモン補充療法」といいます。
★女性の骨量は、閉経後に減りやすい
加齢やホルモンバランスの乱れがあると、骨代謝に影響が出ます。
特に女性は、閉経によりエストロゲンが急激に減るために、男性よりも影響を受けやすいのです。
★過度なダイエットが骨を弱くする
骨量は20歳代に最も多くなり(最大骨量)、その後の骨量を左右します。
10歳代の過度なダイエットの影響で最大骨量の少ない人は、閉経後早々に骨粗鬆症になりやすいのです。
★骨粗鬆症になると、骨折しやすくなる
骨粗鬆症とは、骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気です。
男女共に見られますが、患者数では男性が約300万人に対して、女性は約980万人と3倍も多くなっています。
★骨量を増やすには、運動と食事が大切
骨粗鬆症を予防するには、地面を踏みしめるような運動が効果的です。
食事では、骨を作るに必要な以下の栄養成分が必須です。
①カルシウム→乳製品や大豆製品、緑黄色野菜、海藻、魚、ごまなどに豊富です。
②ビタミンD→腸でのカルシウムの吸収を促す作用があります。魚やきのこ、卵に多く含まれています。
③ビタミンK→骨を作る働きを高める。納豆や油揚げ、緑黄色野菜などから補給できます。
④たんぱく質→骨や鉄骨部分にあたるコラーゲンの材料になります。肉や魚、大豆製品、乳製品など
★60歳未満の便秘は、女性に多い
「便秘」とは、週に3回未満しか排便が無い状態、あるいは便が硬い、強くいきむ、残便感、腹部の不快感などがあって排便が困難な状態をいいます。
便秘は、60歳未満では特に女性に多いという特徴があります。
その理由は、女性ホルモンが大腸の動きを緩やかにすためと考えられています。
①便の通過が遅いタイプ→女性ホルモンが影響するので、女性に多いタイプ。
②便の出口が緩まないタイプ→高齢の男性に多いタイプ。
③便が硬すぎたり、便意を感じにくいタイプ→食べる量が少ないと便も少なく、排便なでに時間がかかる。
以上で、第8章「女性の健康」 後半部分を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。