感染症の恐ろしいところは、姿を見せずにいつの間にか感染して、ある一定の潜伏期間が有り、人から人へ爆発的な勢いで拡がっていくところにあります。
解決策(ワクチンなど)が有れば救われますが、解決策が無い場合には、ひたすら自分の肉体の可能性を信じて戦うのみとなります。
まずは毎日の健康管理を十二分に行って、体力を温存しておくことが大切なようです。
睡眠不足の方は、十分にお気を付けください。
★ワクチンで予防する
感染症の中にはワクチンによる予防接種によって感染を防いだり、もし感染した場合でも重症化を予防出来たりするものがあります。
特に、免疫の働きが弱い子供や高齢者では重症化する危険性が高いことから、ワクチンによる予防が勧められます。
ワクチンには、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。
①生ワクチン
生きた細菌やウイルスの毒性・病原性をほぼなくしたもの(弱毒化)で、体内で弱毒化した細菌やウイルスを増殖させることで免疫をつけます。
自然感染に似た反応をするので、比較的強い免疫が出来て、長時間持続するため、摂種回数が少なくて済むなどのメリットがある反面、人によっては接種後に発疹などの「副反応」が出ることもあります。
多くは軽い反応で消えますが、病気のようになってしまうこともごくまれにあります。
②不活化ワクチン
細菌やウイルスの毒性を全く消したもので、接種後に体内で細菌やウイルスが増殖しないため、病気そのものを発症する心配はありませんが、1回では自然感染より免疫の出来る力が弱く、また部分的な免疫であったりするので、十分な免疫が作られるまで通常3~4回の摂取が必要となり、年を経て追加摂取を必要とするものもあります。
★ワクチンによる予防が可能な病気
①インフルエンザ
②麻しん(はしか)
③風疹
④水ぼうそう(水痘)
⑤結核
⑥破傷風
★子供の感染症予防には多くのワクチン接種が行われる
免疫の働きや体が弱い子供の場合、感染して重症化すると命に関わったり、後遺症が残ったりすることもあります。
そのため、以下に挙げるような感染症についてはワクチン接種を受けておくことが大切です。
・麻しん(はしか)
・風しん
・百日咳
・ジフテリア
・ポリオ
・日本脳炎
・結核
・水ぼうそう(水痘)
・おたふくかぜ
・ロタウイルス胃腸炎
・インフルエンザ菌b型(ヒブ)感染症
・小児用肺炎球菌感染症
わが国の予防接種の制度(法律)では、国が定めて各自治体が実施している定期接種と、保護者の判断で各自が医療機関で受ける任意接種があります。
定期接種は指定期間以内なら、原則的に無料で受けることができます。
任意接種の費用は自己負担になりますが、自治体によっては費用負担の助成をしているところもあります。
なお、任意接種といっても、大した病気ではないから受けなくても良いというわけではありません。
感染症から身を守るという点では、できる限り受けておきたいものです。
★予防接種を受けるときの注意点
予防接種当日、37.5℃以上の発熱があるときや、発熱はないが下痢がひどい、体調が悪そうで元気がないときは様子をみるために中止あるいは延期します。
予防接種を延期したときは、子供の体調が良くなったら受けに行くようにします。
推奨期間を過ぎていたり、接種間隔が空き過ぎたときも必要な回数は接種を済ませておくことが大切です。
なお、過去に予防接種を受けた際に強いアレルギー反応が起こった場合は、同じワクチンを受けることはできません。
多種類の予防接種を受けるのが大変なときには、同時接種によって複数のワクチンを同時に接種する方法もあります。
単独で接種した場合と効果に差はなく、注射後の発熱や注射部位の腫れが生じる割合が少し高くなることがありますが、深刻な副反応が起こりやすくなることはありません。
同時接種では、複数の病気に対する予防効果がより速やかに得られることと、ワクチン接種のための受診回数が少なくて済むというメリットがあります。
ですが、同時接種でなければならないということではありません。
★感染を拡大させないためには
子供は大人と比べると体の力、病気経験の少なさ、環境などから感染症にかかりやすい状態にあります。
発症すると治療しますが、感染症によっては合併症や重大な後遺症が出ることも少なくありません。
そのため、あらかじめ「予防しておく」ことが大切です。
また、子供は保育所や幼稚園、小学校などで集団生活を送っているため、1人でも感染者が発生するとすぐに感染が拡大して、大流行しやすい特徴があります。
つまり、ひとりひとりが予防を心掛けることが感染症の集団発生を防ぐことにつながります。
なお、大人が子供の感染源となることも少なくありません。
子供の病気といって侮らず、大人自身が予防を心掛けることも大切です。
以上で、第10章「感染症を防ぐ」の後半を終了します。
日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。