身体活動・運動と健康 ①

第4章では、健康寿命を伸ばすためには決して欠かせない運動と健康の話しになります。

やはり動物的要素を持っている人類には、毎日身体をいかに動かすかが大変重要な問題です。

 

★運動不足よりも深刻な身体活動量の低下

1997年に比べると、約1,000歩も減少しています。

歩数や身体活動量が減っている原因の1つに「ICTの発展」が挙げられます。

ICT=インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー

身体活動量が減っている背景には、社会の変化が深く関与しています。

※世の中が便利になればなるほど、皮肉にも動物的人間は弱くなります。

★働き盛りや女性の運動不足解消は、社会的な支援が不可欠

国民の「健康リテラシー」は高まっており、比較的時間と生活に余裕のある60歳以上の人は、積極的に運動しているのです。

ところが、20~50代の働き盛りの世代では、運動習慣のある人の割合が減少しています。

これは、忙しく働いている人ほど、運動の為の余暇時間を確保することが難しいためです。

働き盛りの世代こそ、身体活動量をいかに増やしていくかが重要です。

★身体活動・運動不足は日本人の死亡要因第3位

身体活動・運動不足は、喫煙、高血圧に次いで、非感染症の病気による死亡を招く3番目の危険因子です。

身体活動不足の影響としてまず挙げられるのが、生活習慣病との関係です。

近年注目されているのが、身体活動と「ミトコンドリア」の関係です。

ミトコンドリアは、活動するためのエネルギーを作り出しています。

身体を動かさなくなると、エネルギーをあまり使わなくなり、次第に怠けて性能が低下していきます。

★体を動かさないで起こるのは、生活習慣病だけではない

身体活動不足で起こるのが、足腰の筋力の衰えです

骨が脆くなる「骨粗鬆症」「転倒」「骨折」も起こしやすくなります。

このように身体機能が低下し、移動が困難になる状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)といいます。

認知症やうつ病の発生率は、身体活動・運動量が多いほど下がり、座って行う作業やテレビ鑑賞時間が長いほど増えることが分かっています。

★体を動かす時間を1日10分間増やす

厚生労働省が提唱しているのが、「+10(プラステン)」です。

1,000歩は、約10分間の歩行に相当します。

今より10分間多く体を動かし、身体活動量の不足の解消を勧めています。

国立健康・栄養研究所が多くの研究から導き出した分析では、+10によって「死亡リスクを2.8%」「生活習慣病の発症を3.6%」「がん発症を3.2%」「ロコモ・認知症の発症を8.8%」低下させることが可能であることが示唆されています。

★運動だけでどのくらい減量できる?

1日10分間歩く時間を増やすと、標準体型の人で30㎉ほど消費エネルギーが増えます。

それを365日間続けると、およそ10,000㎉になります。

体重1kgは7,000㎉に相当するので、+10を1年間続けると、1.5kgほど減量できます。

十分な減量効果を得るためには、食生活の改善と組み合わせることが必須です。

★運動によって、しなやかで若い血管を保つことができる

運動すると、血管の内壁を覆っている内皮細胞から、NO(一酸化窒素)という物質が分泌されます。

NOには血管を拡張させたり、しなやかに保つ作用があり、血管が広がることで血圧も下がります。

運動によって心拍数が増えると、心臓からANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンが分泌されます。

運動を習慣にすれば、糖を分解するインスリンが効きやすい体質になり長期的に血糖値を下げることもできます。

活動的な人と比べて、糖尿病のリスクが約2倍になると言われています。

身体活動量の多い人ほど、HDLコレステロールが多いことが分かっています。

つまり、運動が動脈硬化予防につながるのです。

★心の健康、認知症、骨粗鬆症など、運動の効果は多岐にわたる

近年、認知症は、生活習慣病の改善で予防できる可能性があることが分かってきました。

このほか、腰痛などの慢性的な痛みを和らげる働きもあります。

また、運動をして骨に適度な負荷がかかると、骨密度が高くなり、骨粗鬆症の予防につながります。

★身体活動のがん予防効果も明らかになってきた

国立がん研究センターの研究では、身体活動量の多い人は、少ない人よりも発がんリスクが低いという結果が出ています。

特に男性では、結腸がん、肝がん、膵がん、女性では乳癌、子宮体がん、胃がんのリスクが低下していました。

身体活動量を増やして肥満を改善することも、がん予防につながります。

適度な運動は、活性酸素の発生を抑えることができます。

さらに、運動によって免疫機能が調整されることも、がん予防につながります。

★身体活動量とがん発生率

45~74歳の男女約8万人を、身体活動の強度や時間から、4グループに分けて9年間追跡した。

身体活動量が多いほど、がん全般の発生率は下がった。

特に男性の結腸がんは顕著で、最も身体活動量が多い人たちは、4割近くも発生率が下がっている。

 

以上で、第4章 身体活動・運動と健康 ①を終わります。

※は、私なりの個人的見解を入れております。

日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗜好を見直す

健康長寿社会を目指していく上で、社会全体で取り組んでいく問題の嗜好品ですが、まずは個々人が適量を知って上手に活用していくことも重要です。

★喫煙は、最大の死亡要因

①たばこの有害物質が、あらゆる病気を引き起こす

毒性のある物質や、発がん性物質を含め、約4,000種類もの化学物質が含まれています。

・ニコチン➡脳の神経に強く作用する物質で、強い依存性があり、体内で発がん性のある物質に変わります。

・タール➡約60種類もの発がん性物質が含まれ、肺に染みついて肺を黒くしたり、ごく一部は血流に乗って全身に送られ、様々な部位でがんを誘発します。

②息切れはCOPDという病気のサイン

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、肺の病気の一種です。

肺の動きが悪くなったりして呼吸がしにくくなる病気で、患者数は現在500万人にのぼると推定されています。

別名「たばこ病」とも云われて、肺がん以上に、たばこと関係の深い病気なのです。

長引く咳や痰、坂道や階段を上った際に起こる息切れなどは、COPDの代表的なサインです。

③受動喫煙で周囲の人にも被害が生じる

たばこの問題点は、たばこを吸っていない非喫煙者でも、「副流煙」を吸い続けていると、肺がんや心筋梗塞のリスクが高まることです。

これを「受動喫煙」といいます。

しかも、たばこの発がん性物質のなかには、喫煙者が吸う主流煙より副流煙のほうが濃度が高いものがあります。

③禁煙すれば、その瞬間からガンが遠ざかっていく

たばこによる自分と周囲への健康被害を防ぐには、禁煙が不可欠です。

禁煙を始めるのに、遅すぎることはありません。

④禁煙の成功率を上げるコツ

禁煙は、やみくもに取り組んでも長続きしません。

それほどニコチンによる依存性は強く、日本の喫煙率が依然として高い理由でもあります。

どうしても吸ってしまう人は、禁煙外来を頼る事も1つ手です。

禁煙治療を受けるための一定条件を満たしていれば、健康保険などが適用されます。

※タバコを吸い始めるきっかけは人それぞれですが、やはり一番多いのは「親が吸っていたから」になります。

※未来を担っていく子供たちの為にも、タバコをお吸いの方は是非とも禁煙を、非喫煙者は受動喫煙をしないように十分にお気を付けください。

★お酒と健康

①飲酒量が多ければ多いほど、がんのリスクが高まる

お酒には、適量を守れば、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が期待できると云う、健康に良い一面が有ります。

しかし、飲む量が過ぎると、健康に様々な悪影響を及ぼします。

国立がん研究センターの「多目的コホート研究2015」によると、男性の場合、1日当たりアルコール量23g~46g(日本酒で1~2合)以上の飲酒をする人は、時々飲む程度の人に比べて1.6倍、がんの発生率が高くなることが分かっています。

部位別にみると、食道がん4.6倍、大腸がん2.1倍、女性では乳癌のリスクが1.8倍です。

ほかにも、過度の飲酒は口腔がん、咽頭がん、肝がんなどの原因になります。

厚生労働省は「100%のアルコール10g=1ドリンク」とし、「男性で1日平均4ドリンク、女性で2ドリンクをそれぞれ超えないように」としています。

女性は飲酒の影響を受けやすいため、特に注意が必要です。

②1ドリンク相当のお酒の目安量

・ウイスキー、ブランデー(40%)→30mL{シングル1杯}=1ドリンク

・焼酎(25%)→50mL=1ドリンク

・日本酒(15%)→0.5合=1ドリンク

・ワイン(12%)→110mL{グラス1杯弱}=1ドリンク

・酎ハイ(7%)→180mL{350mL缶1/2本}=1ドリンク

・ビール(5%)→250mL{ロング缶1/2缶}=1ドリンク

★飲み物と健康

飲み物のなかでも、健康効果が期待されるものに、「緑茶」と「コーヒー」があります。

これらは、ポリフェノールなどの抗酸化物質を含むことから、がんの予防に役立つのではないかと注目され、研究が進められています。

まず「緑茶」ですが、女性において、1日の摂取量が1杯未満の人に比べると、1日5杯以上飲む人の方が、胃がんのリスクが低くなる傾向がありました。

「コーヒー」については、よく飲んでいる人で肝がんや子宮体がんの発生率が低いという報告が、数多くあります。

要因についてはまだよくわかっていませんが、コーヒーの持つ炎症を和らげる効果や、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」「カフェイン」などの成分による、インスリン抵抗性の改善効果などが、がん予防に関わっていると考えられています。

心疾患や脳血管疾患は、いずれも動脈硬化に関係の深い病気です。

「緑茶」や「コーヒー」による、血管に対する総合的な健康効果から、これらの病気予防、死亡リスク低下につながっていると考えられています。

※人体の約60%は水分にて構成されていますので、基本的にはキレイな良質の水を毎日こまめに飲むようにオススメしています。

※60歳以上の方は、特に水分補給は十分に行って「脱水症状」を起こさないようにこまめに水分補給をオススメします。

 

以上で、第3章 嗜好を見直すを終了します。

※は、私なりの個人的見解を入れております。

日本健康マスター検定の公式テキスト NHK出版より要点を抜粋して記載しております。